坪井善明『ヴェトナム──「豊かさ」への夜明け』、新赤版344、1994/7/20。 ヴィェトナムといえば社会主義国で思い出すのはホー・チ・ミン。ホー・チ・ミンは独裁的だった等々・・・。それくらいしか私は知らなかった。つまり何も知らなかった。最近はそこそこ
勉強したつもりだったのだが、こんなものである。お恥ずかしい。
人のせいにするつもりはないが、私がヴィェトナムについて何も知らないのは、私がヴィェトナムを「
観光」するために必要な情報を収集していただけだったために、ヴィェトナムの社会・政治体制について、あまり深く言及する書物を読んでこなかったからだろう。
本書はそうした本とは異なり、共産党一党独裁による社会主義体制の形成と実情を、その内側から教えてくれる。当然のこと、ヴィェトナムとその周辺(昔は明確な国境などなかった)の歴史や、ヴィェトナムという地域に住む(ネイションではなくエスにシティとしての)諸「民族」については、基礎的な知識として最初に紹介される。
ホー・チ・ミンについては、先に書いたとおり、私はあまり良いイメージをもっていなかった。しかし、本書で紹介されたホー・チ・ミンは大変に魅力的である。そして、どうやらいまでもヴィェトナムの人々(特に北部の)に敬愛されているらしい。こんどは、ホー・チ・ミンの評伝でも読んでみよう。
安価で簡単に手に入れることの出来る本書は大変にありがたい作品であると思う。
[目次]
はじめに
第1章 中国の影 1
第2章 南と西の隣人たち──チャンパ、カンボジア、ラオス 27
第3章 ヴェトナム社会 65
第4章 党と国家機構の特徴 101
第5章 ドイモイ政策 145
第6章 戦争の傷跡 183
第7章 経済発展の可能性 201
第8章 援助のあり方 237
あとがき
主要参考文献
ヴェトナム史略年表